【歌のこと−文化交流としての役割】
★ステージ衣装は自分でデザインされることもあるとお聞きしました。立体裁断で身体に布を当てたまま、型紙なしで縫ったこともあるとお聞きしましたがホントですか?
冴木:コンサートの衣装は、ほとんど自分でデザインをしています。ステージの構成を考えて、曲目のイメージにあわせてデザインをしていくことはとても楽しいことです。
昨年、以前いただいたとても素晴らしい真っ白なレースの生地があることを思い出し、布をあてて鏡を見たときにデザインが浮かんできて、「よし!」と、早速デザイン画をかきました。縫い代をあまり取らない、接ぎ目の少ないデザインで、さらに繊細な生地なものでハサミを入れるのも慎重になります。立体裁断でマネージャーと一緒に作ったんですよ!!(白いレースの片袖のドレス)
コンサートでも好評で嬉しかったです。この後、着物柄の生地でもう一枚、型紙も作らずに立体裁断でドレスに仕立てました。よく時間のない中で作れたと思います、手伝ったいただいたマネージャーに感謝!こちらは、昨年のベルリンライブで着ました!!評判??もちろん、バッチリでしたよ。
★ステージでは本当に大切に一曲一曲を歌われますが、杏奈さんにとって歌とはどのようなものですか?
冴木:私の人生そのものであり、かけがえのない命とともにあるものです。
★CD「想」ではタンゴ史上初めて、世界の子守唄・民謡・童謡などをタンゴにアレンジして日本語で歌われ、既成のタンゴの枠組みに拘らないアルバムに驚きの声が上がりました。なぜそのようなアルバムを出したのですか?
冴木:そうですね、日本の皆さんにタンゴをもっと親しんでいただきたかったのです。子供の頃に聞いたことがある、口ずさんだことがある、そんな懐かしいメロディーがタンゴにのって聞こえたら新鮮だろうな・・・って。海外でもとても評判がよく、本当に言葉を超えて想いは伝わっていく・・・という体験をさせていただきました。
新しいことを試みるときは、受けて入れていただけるかどうか、とても難しいところだと思いますが、チャレンジをしないと次には続かない・・・・。チャレンジを続けることでいつかひとつの大きな道となるように思えます。海外でのコンサートが自分にとってはそうです。
昨年パリのコンサートのとき、何年も私のパリコンサートを追い続けてくださっている記者の方が、私が新しいタンゴの世界をチャレンジし続けることに敬意を表してくださいました。「貴方がしていることは、ブエノスアイレスでタンゴが生まれた起こりに似ている、いろんな国からさざまな音楽が入ってきて織り交ざりタンゴが出来た・・・それと同じようにいろいろな要素を織り交ぜてアンナサエキのタンゴが出来上がっている・・・ピアソラと同じようにこれからのタンゴの世界を大きくしていく、ひとつの大きな軸になると思います。」と・・・。喜びとともにこれからのさらなる勇気に繋がりました。
★パリ公演では、着物を着てパリのバンドとともにスペイン語でピアソラの曲を歌う。日本公演では、桜の刺繍が入ったアオザイを着てニューヨークのバンドとともにベトナムの曲を歌う・・・。最近のご活躍を見ていると、冴木杏奈さんのステージそのものがさまざまな国の文化を結びつける役割を果たしているようにも見えますが、いかがですか?
冴木:ありがとうございます。そう受け取っていただけるのは、幸せです。国際文化交流が歌を通して出来たらどんなに素敵なことだろうと、ずっと想ってまいりましたので・・・。出来る限り海外でのコンサートには、日本の伝統文化である着物を着たかったのです。日本の素晴らしい文化を、目でも触れて欲しいという想いがあり・・・。今回のCDには、ベトナムの曲が入っていますので、一度は着てみたいと思っていたアオザイを着ることにしたのです。
NYでも、アルゼンチン大使に「貴方がしていることは、アメリカとアルゼンチンと日本を結ぶ架け橋ですね・・・」と、おっしゃっていただいたことを昨日のことのように覚えています。これからも、こつこつがんばっていきたいと思います。
★CD「希」ではご自身初、セルフ・プロデュース(作詞・作曲)の曲が入っていますが、どのような思いをこめてつくられましたか?
冴木:そうですね・・・・。初めての体験だったのですが、セルフ・プロデュースした曲は2曲(歌詞だけさらに2曲で、今回オリジナルは4曲入っています)で、ベルリンでのレコーディングでした。「あなたとともに〜あの歌〜」のボーカル入れしているとき、歌に感情移入して、歌っている途中で涙があふれてしまったんです。ブースの向こう側でエンジニアの方たちが、何事が起こったか?という感じで、こちらを覗き込まれました。感情が入りすぎて涙が出たことを説明していただきましたが、日本語ですので、「言葉はわからないけれどアンナの想いは伝わってくる」と、おっしゃっていただき、そのあと、歌った1回でOKでした。ブースを出たら、「本当に素晴らしい!」と、エンジニア、スタッフが涙ぐまれて、拍手で迎えてくださいました。「出逢い〜一期一会〜」も本当にドラマチックに出来上がり、最後まで素晴らしいスタッフとともに感動的な最高のレコーディングが出来ましたことを、本当に幸せに思います。