<Anna Saeki : 全身全霊のtanguissima>

 2005年のコメディ・デ・シャンゼリゼでANNA SAEKIを知ってから、彼女のコンサートスケジュールを調べては、ヨーロッパに次にやってくるのを指折り数えているが、もう少し辛抱が必要なようだ。なぜなら、今年はデビュー20周年で、引っ張りだこで、ヨーロッパに来る予定はないらしい・・。グス・・・(涙声)。彼女は、ブエノスアイレス市主催の「第9回タンゴフェスティバル」に招待され、続いて現地でのニューアルバムConcierto de Anna Clasica&Modernaの発売を記念したコンサートを行う。次いて、デビュー20周年記念コンサートツアー〜あたなとともに〜では、日本各地のコンサートの後、NYに飛び、彼女にとっては馴染みのコンサート会場「カーネギーホール」のステージに再び降り立つ。

 Anna Saekiをまだご存じない不運な方々のために言っておくと、アルゼンチンタンゴは確かに、この日出国(日本)の大きな承認を享受しており、多くの愛好家が情熱を燃やしているが、無数のアーティストの中で、日本の国境を越えて聴かれている歌手はほとんどいない。
Anna Saekiは紛れもない日本のタンゴDIVAであり、彼女の名声は世界規模である。
崇高かつ伝説のRanko Fujisawaの後継者であるが、Anna Saekiは、その国際性において更に卓越しており、1999年以来、東京、ロンドン、NY、ハワイ、ロサンジェルスなどで数々のコンサートを行っている。
日本の北海道で生まれ、1984年にミス・サッポロに選ばれたことがきっかけで、1987年にデビュー。ファーストアルバムTango Primaveraは、Anibal Troiloのかつてのピアニストとしても知られる、かの有名なJose Colangeloと共演したものであった。

 このDIVAのオリジナリティを一言で表現すると コントラスト(対照を成すもの)の緻密な結合ということが出来るだろう。そして、その結合は、個別の材料すべての完璧な熟練なくしては不可能である。Anna Saekiは、我々が耳にする一般的なタンゴ歌手のそれとは似ても似つかない透明で澄んだ声を持ち、良く響く声とトレモロにより、アルゼンチンクラシックと日本的な和音とを見事に調和させる術を確立したのである。スペイン語、フランス語、英語または日本語と、何語で歌っても、Anna Saekiは常に説得力があり、人の心を動かし、独創的である。
彼女は、自分自身の真髄を歪めることなく、“借用”した音楽との適切な均衡を見事に見出したのだ。ピアソラの曲を多く含む彼女のレパートリーが、往年のファンやアルゼンチンダンゴの愛好家達を遠ざけることなく、さらにより広い層を魅了しているのも当然なのである。
このDIVAを次にステージで見て聴くことができる日を心待ちにすることにしよう。着物に、皮のスーツ、真っ赤なドレスと、彼女のステージは四方八方に広がる、まるで万華鏡のようだ。


(2007年6月2日、La culture cosmopolite)